以下はこのニュースを見ての思いつき。
労働法関係者には有名な「整理解雇の四要件」というのがあって、企業はみだりに従業員を解雇できないことになっている。
が、企業側はそれをできるだけ狭く解するなどする結果、景気の雲行きが怪しくなると請負や派遣だの、有期雇用社員だのの形式的には部外者である従業員や弱者が真っ先に首を切られるのが常である一方、経営責任を負う役員や株主に被害が及ぶのは希であるばかりか、一方で首切りを行いつつ役員報酬や配当は維持などということがあったりすると不公平感は拭えず、争議に発展することも希ではない。
そして、大手企業における争議が泥沼化でもしようものなら経済全体への影響が無視できなくなる。しかし、昨今のように急激に景気が冷え込む下では、首切りが避けられないのであれば迅速に実施しなければ企業倒産などより大きな影響も懸念されるであろう。
日銀の対応がどうとかといった問題を脇に置くならば、残る最大の問題は弱者から首を切られるという差別的な対応にある。経営が傾いたから責任を取ってまず役員が辞めた会社、などというのは聞かない。かといって、それを強制するのもなんか違う気がする。おおかたの日本企業においてはたとえば社長一人辞めさせたからといって派遣数千人分の人件費が浮くとは思えない。
そこで私が提案するのが、整理解雇四要件を満たさなくてもよい代りに首切り(リストラ)対象者をくじで選ぶという制度である。当選確率は年収に比例するようにし、抽籤は公的な第三者機関(社会保険事務所とかにやらせれば年収の虚偽申告はできまい。(^_^;))で実施。形式的な社外人である派遣・請負等はもちろん社長まで対象にするし、一定の人については系列会社へは一定期間再就職禁止とか、役員の再就職は職安を通すこととかの抜け穴ふさぎも付ける。(そこのあなた、これはネタなので真面目に反論しないように。)
それでも首を切られる者のほとんどはヒラだの派遣だののままだろうし、当選確率と報酬を比例させたとしてもよほど不公平な報酬体系を採用していない限り、数を考えれば役員に累が及ぶようなことはほとんど起きないだろう。しかしこれにより、会社側ないし人事担当者による首切り対象者の選別という、不公平感の源泉は断たれる。また、経営者も例外扱いされず、文字通り自分のクビを賭けなければ解雇・人員整理の提案ができないとなれば少なくとも安易な首切りは行われなくなると思われるし、一方、企業にとって本当に必要とあれば果敢な解雇を妨げるものにはならないのである。