このポスターを夜陰に紛れて貼って歩くが、BUNTENが防虫吟強制市場介入班に捕まり、芋蔓式にフリーメイソン日本支部一斉検挙wはてな高齢者マーク(C)finalvent

あせるな危険? 原因と対策が対応していない本田式ニート論

これは、本田由紀/内藤朝雄/後藤和智「ニート」って言うな!光文社新書 第一部(本田由紀氏担当分)の感想です。

第一章では、ニートの増加の内実はもっぱら失業者ないしそれに近い層の増加であることが示される。

たとえばP.28で、「「ニート」よりもはるかに増えているのは「求職型」=失業者と「フリーター」」だと指摘し、さらに、「非求職型」ニートを、失業者との境界があいまいな層と主張(P.30)するなどした上で、「もし若年失業に焦点を当てていれば、労働需給の客観的構造自体が注目され、労働需要を刺激し回復するための方策として何が可能なのか、という方向で取り組みが進められていたはずです。」(P52-53)として、主要な問題は労働需要側にあると正しく結論付けている。

にもかかわらず本田氏は、第二章以降で、教育といういわば労働供給側の問題に焦点を当てて対策を論じている。

原因と対策ちぐはぐなこの展開では読者は戸惑うだろう。実際、陰謀論的な理解から善意の理解まで、本田氏の意図を問題にする言説が広く見られる。()

労働の供給側(ないし教育の問題)に焦点を当てるのは、供給を上回る需要がある場合には正しい。教育社会学者である本田氏の分析力や政策立案力は人手不足な好況期にこそ必要とされる類のものだろう。しかし現在はまだデフレあるいはそれに近い状態であり、労働市場にも十分な需要はない。このような局面では、"とにかく需要を増やせ、話はそれからだ。"、と主張するのが本田先生的には正しいと思われるのだが、短期決戦の出版スケジュール内に割り当てられたページ数を埋めなければならないプレッシャーに負けたのではないかと、萌える私は好意的な想像をしておくのだった。(^_^;)

P.S.

コメント欄での疑問等について。

この本の記述からは、対象者の自己認識が教育の成果によるかどうかはわからない。因果関係の推定は相関の指摘よりハードルが高いが、私には因果が言えるレベルの話にも見えなかった。もっとも、通俗書にそのレベルの論述を求めるのは酷だろうし、本田氏の著作の主要な問題はここにはないと思えるので、書評ではこの問題にはあえて触れなかった。