このポスターを夜陰に紛れて貼って歩くが、BUNTENが防虫吟強制市場介入班に捕まり、芋蔓式にフリーメイソン日本支部一斉検挙wはてな高齢者マーク(C)finalvent

【本】日本再生に「痛み」はいらない

【本】日本再生に「痛み」はいらない

岩田規久男八田達夫/東洋経済新報社

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リフレは構造改革に反するものだ、という悪宣伝に対する回答本の一つ。いわばリフレ派の二人による本物の、あるいはあるべき"構造改革"の処方箋である。



いわゆる構造改革派の方々の"改革"は何のために何をどうするといった具体性に欠け、とにかく公務員を減らす(それも、減らされるのは独立採算で国の負担にはなっていない郵政職員だったりする(^_^;))といったわけのわからないものであったりするのに対し、この本の提言は目的によって割り当てられる政策がしっかりしているので、あまたのトンデモ経済本とは異なり、批判や評価に十分耐える。

都市集中促進策など、田舎者の私には本能的に疑問だったり、容積率緩和はいいとしても高層化に伴って防災対策もちゃんと強化するの、とか、突っ込みどころは確かにある。とはいっても、経済学的観点以外に戦線を拡げても得るところは少ないだろう。そういうことは、政策採用の際に突っ込みが入ればよいことである。

また、消費税の存在が前提になっていることには大きな疑問を抱くわけだが、いわゆる一つのたたき台としてはそんなことは当然問題にならない。

むしろ

有権者が、「高所得者の負担を現状より軽くするために、低所得者の負担を増やすべきだ」と考えるなら、そうすべきだと思います。

 ただし、消費税シフトの是非を選挙で問うときには、そのように争点を明確にすべきだと思います。高齢化対策としてその是非を選挙で問うのは、間違いです。すなわち「このシフトは、高齢化対策としてはまったく役に立たない。しかし、低所得者の負担を増やして高所得者の負担を減らすことができる。賛成か反対か」という形で問うべきでしょう。そのうえで、有権者が賛成だというのならば、これは所得分配に関する価値観の問題ですから当然そうすべきでしょう。(P.208「誤解だらけの消費税シフト」)

という発言に代表されるように、選挙の際によく観察される二枚舌公約と異なり、政策とその効果が正直に対応づけられた提言になっている点を私は高く評価したい。選挙での選択の際に必要なのは何となくよさそうといったイメージの類ではなく、政策とその効果に関する具体的で正確な情報なのだ。

郵政改革の国会審議でも聞きながらこれを読めば、本物の改革のビジョンをプロが描くとここまで明確なイメージになるのか、と驚くこと請け合いである。