このポスターを夜陰に紛れて貼って歩くが、BUNTENが防虫吟強制市場介入班に捕まり、芋蔓式にフリーメイソン日本支部一斉検挙wはてな高齢者マーク(C)finalvent

日本の「失われた20年」/片岡剛士/藤原書店(ISBN978-4-89434-729-8)

版元 本やタウン e-hon 楽天 セブン 紀伊國屋 Jbook bk1 アマゾン (アマゾンは税金の関係でおすすめしておりません。)

著者からのいただきものです。ありがとうございます。m(_@_)m



それにしてもこれは大作である。読み進めるうちに、波を蹴立てて進む大艦隊の威容が私の頭に浮かび、次いで、自分の貧弱な頭から出てくる言葉でぽんと言い尽くせるような生やさしい本ではないのもよくわかった。m(_@_;)m

そういうわけで、言葉が足りないと感じられたならそれは全て私の頭の至らなさであり、本の中身はこのエントリーをはるかに凌ぐことを保証いたします。

ここ20年ほどの日本の景気の低迷を論じた文章は戦前の昭和恐慌時と現在の「失われた20年」を比較しているものが多い印象があったが、この本はもっぱら戦後を比較・分析の対象にしている。それなのに400ページというその量にまず圧倒される。

その豊富な"物量"で、需要側(P.136〜)と供給側(P.143〜)、外需と内需(P.141ほか)、実物と貨幣(P.157〜)など色々な論点をしゃぶり尽くすように分析するのだからたまらない。

しかもそれをざっくり見せるという読者サービス(総需要-総供給分析 図表付き。P.154〜)もあるという至れり尽くせりである。

さらに、終章の「拡張されたエッジワースボックスに基づく市場メカニズムの特徴と限界」(P.377)では、交渉力のない人をどうしたら対等の市場参加者にできるか論じてあり、底辺の人々にも目を配るという、経済学に関わる多くの人と同じ熱い血が著者にも受け継がれ、流れていることを今まさに底辺にいる私に実感させてくれる。

私は、資本主義が唯一の解だとは考えていないが、日和見主義者でもあるので、当面(といっても、少なくとも百年単位のスパン)"修正資本主義"で行くしかないだろうと考えている。本書は、その、よりましな"修正"あるいは政府の介入はいかにあるべきかを現代日本に即して考えるために欠かせない本の一冊と言えるのではないだろうか。