床屋に行った話ではない。
このネタはしばらく寝かせておいたもので、床屋の翌日になったのは偶然である。
薄くなった天辺を誤魔化すためにいわゆるバーコード型のヘアスタイルにしている。
比較的残っている横髪を長く伸ばして頭頂経由で反対側の横まで伸ばす形式で、1:9分けくらいの感じに見える…はずである。
しばらく前から、髪が鼻の頭近辺に垂れてくるようになった。
なでつけてもなでつけても、垂れる時は垂れる。ヘアスプレーでコチコチに固めているのになぜか垂れる。
しかし、横髪が真ん中から垂れるのもなんか不自然ではある。
そこで、今日も垂れたのを幸い、鏡で詳細に観察してみることにした。
…そこにあったのは、はげ上がった前頭部にただ一本だけ残った前髪のなれの果ての姿だった。元前髪は、仲間がたくさんいた時同様、あくまで前向きに、だらりと垂れている。
群れた髪ならスプレーで固めようもあろうが、孤独な髪では運良く他の髪と連ならない限り固まらずに垂れるという次第であった。
無理矢理他の髪と固める方法はバクチで、うまく行かないことも多々あるのはここしばらくで経験済みである。
ただ一本の、貴重な元前髪を前にした俺の決意は固まった。(タイトルに続く)