障害福祉関係ははてなが定位置なのではてなに書く。あまりにも情けない話なので実のところ河岸を変えようかと思ったのだが、自分の恥をさらすのもそれなりに価値があると思い直して掲載。
(まとまったコメントを書いたので、その保管を兼ねています。)
発端は校長日記・・学校おやぢつぶYaKi 「ウインナが出てこない」の末尾
ところが、食事時間の終わり頃になって、両端がぐちゃぐちゃになった子が現れたのです。教師の固まっているの所に、黙ってソーセージを突き出しながら歩いてくる姿は特に困っている様子でもないのです。ただただ無言で、手を出しているだけです。
「ソーセージが出せないの?」・・・ウン
「他のものは食べた? 食べてない?」・・・ウン
「ジュースは飲んだの?」・・・ウウン
「で、どうして欲しいの」・・・??
「ソーセージを出して欲しいの?」・・・ウン
五年生ですよ。生きる力って言うけれど、学習成績よりも大切なスキルが身についていないのですねえ。
に付けた私のコメント。
最後の方の子、何らかの障害を抱えている可能性はないのでしょうか?
これに関しておやぢ氏は
「ウインナは障害か?」というエントリを立て、
実はおやぢは「発達障害」というくくりには疑問を持っています。
とおっしゃり、さらに、
「発達障害は、症状の集まりを障害と呼ぶ」というエントリを追加します。そこで責任を感じた私のコメント。
>『躾けられていないので「障害」のように見えてしまう子』がいるのではないか?
それはおそらく、というか間違いなくいるでしょう。
しかし専門家に診せればかなりの精度で区別は可能だと思われます。
さらにエントリ中の表現に違和感を感じて
3. Posted by BUNTEN 2007年08月24日 07:12
>「6%はいるはずだ。もっとよく観察せよ」などといった指示
無知でもうしわけありませんが、ひょっとして文科省ないしその他の偉い筋から教育現場にそういう指示でも出たのでしょうか?
そもそも発達障害児が通常クラスの5〜6%いそうだという話の発端は、専門医等の診断や調査ではなく教師向けのアンケートだったと記憶しております。
ただのわがままとか躾のなっていない子と区別しづらいことが発達障害業界(?)で問題にされているのをよく見ます。それなのに(少なくとも当時は素人だと思われた)教師向けアンケートだけで断言しちゃっていーのかいな、きっと躾のなってない子も一緒にカウントされてるぞ、というのが5〜6%話の第一印象だったのですが、確かに最近はあの数字がひとり歩きしている感じを受けます。
4. Posted by BUNTEN 2007年08月24日 07:13
字数制限にかかったので分割します。
あと、発生率通りの結果が出るのはそれなりに大きな母集団を調べた場合だけで、数百人〜数千規模の集団内では、数%レベルの発生率のものが計算通りの数現われるケースはむしろ少ないはずでして、学校単位でよく探せだの多すぎるだの言う人がいるとすれば、それはおそらく勘違いの類だと思われます。
と突っ込みました。*追記しかし、私が最も重要だと考えた"偉い筋からの指示があったかどうか"には触れずに
「発達障害の原因ってなに?」というエントリが立てられます。先天後天、ないし障害とわがままの区別にこだわるおやぢ氏の意図を読めない私が返したRes.は
2. Posted by BUNTEN 2007年08月25日 21:47
>先天的な障害であれば、「我が儘」や「躾の失敗」とは区別しなくてはならない
「躾の失敗」以外の後天的な障害で性格悪くなる(?)こともあるので、(脳の機能障害を)先天後天で区別する意味はあまりないかと。m(_@_;)m
検索ワード:「フィネアス・ゲージ」
自閉症の発見当初「躾の失敗」というか、親の愛情不足のようなものが原因だと言われていたのですが、その後の研究によって養育環境が原因だとする見解は否定されております。(言い換えれば、躾の問題が原因ではないとされています。)
>環境や子育ての失敗の影響ではありません
文脈を見ないと断言できませんが、ここでいう「環境」は、おそらく養育環境(育ちの善し悪し)を指すと思われます。
では原因は何だと言われても通説はないのですが、脳の一部がうまく働いていないのだろうというあたりまではおおむね合意があるようです。
3. Posted by BUNTEN 2007年08月25日 21:48
またも字数オーバー。orz
補足:
DSM-IV(1994)アスペルガー障害
F その他の広汎性発達障害や統合失調症の基準には、当てはまらない
ICD-10(1993)アスペルガー症候群
D この障害は、他の広汎性発達障害、および小児期における単純型統合失調症、統合失調型障害、強迫性障害、強迫性人格障害、反応性ないし脱抑制性の愛着障害によるものではない。
http://blog.livedoor.jp/ayetown/archives/51087295.html
では、「症状の集まりを障害と呼ぶ」とおっしゃっておられましたが、少なくともこれらの除外規定を理解できる程度の専門家が読むことを想定して診断基準が作られているわけですから、症状のリストを精神科医ないし専門家でない人に見せて判断させるとすれば、それは無茶と言わざるを得ない行為になるでしょう。
次に書かれたエントリは「にわか専門家の「いわずもがな」」。
どうもBUNTEN=にわか専門家、としてウザがられている気がするも、もうひとふんばり。(^_^;)
2. Posted by BUNTEN 2007年08月29日 18:53
ここまで大変なやりとりになるとは思っていませんでしたが、乗りかかった船なので素人の私に可能な範囲でフォローを試みます。突っ込んだ問題については可能な限り専門書等を当たるか、自閉症や発達障害の専門家の意見をお聞き下さい。
例によって字数オーバーではねられたのでコメントを分割します。
3. Posted by BUNTEN 2007年08月29日 18:55
>アスペルガーsyndなどは先天的なものなので、環境や子育ての失敗の影響ではありません」というような断定的な物言いの根拠
二つほど考えられます。
(1)原因論から
発見初期に子育ての失敗(育児放棄のような扱いを受けた結果対人関係を構築できなくなった考えられた)のために自閉症になるのだと考えられ、その仮説に基づいた治療法が色々試されたが、期待した効果が上がらなかったために育児上の問題で自閉症になるという仮説が捨てられた。そのことを述べている。
(2)周囲の誤解を解くため
当初専門家にも"子育ての失敗で自閉症になる"と見えたような状態を呈するくらいなので、周囲の人々はその線から干渉してくることが多い(らしい)。それを避けるため。
4. Posted by BUNTEN 2007年08月29日 18:55
ところで、自閉症の原因がわかっていないのも事実ですが、子育てが原因ではないことは既にはっきりしている(専門家の間で合意されている)のです。その場合でも、原因がはっきりしないうちは子育てが原因ではないと言ってはいけない(原因がわからないことに関しては○○が原因ではないという物言いはすべきではない)、というご意見のように見えてしまうのですが…。
5. Posted by BUNTEN 2007年08月29日 20:24
>長年教師が追究してきた
いわゆる構造化や個別指導の類はおっしゃる通りでしょう。(しかし教師以外の人にとっては理解が難しいことかも知れません。)
自閉症児の教育で問題になるのは、たとえば甘やかされた子に対する適切な対応とはかけ離れた対応が自閉症児には望ましいとされることがある点です(普通のわがままと自閉症の症状を峻別すべき理由はここにあります。)。また、感覚の違い(一般に言う"感じ方"というより感覚の異常というべきもの)から、普通児なら容易に適応できる環境への適応が困難なことがあったりするため、一見「甘え」や非常識を受け入れたと受け取られかねないような環境調整ないし学習上の配慮が必要な場合もあります。(聴覚過敏の子のために運動会のスタート合図をピストル以外に変えてやる、視覚に問題のある子のサングラス着用を認めるなど。)
6. Posted by BUNTEN 2007年08月29日 20:24
言葉についても、自閉症者は文字通り"文字通りの理解"をするためにちょっとした配慮が必要になります。ベテランの先生なら相手が自閉症であることを知らなくても自閉児特有の認知特性を見破って相手ごとに調整することも容易にできるでしょうが、診断を受けていることがわかっている場合、素早い調整が可能になるので教師・児童生徒双方のストレスを減らすことができるでしょう。
7. Posted by BUNTEN 2007年08月29日 20:25
ふろく
自閉症理解のためのおすすめ本(私のレベル上専門書は入っていません。m(_@_;)m)
漫画「光とともに…」(戸部けいこ)
漫画ながら緻密な取材をしていることがうかがわれる本。そのため少なくとも最新の通説に反する見解を正しいものとして扱うことはしていない。ストーリーは幼児期から始まっていて、主人公の少年(複数のモデルがいるらしい)は現在中学生。
花風社から出ているニキ・リンコさん著の自閉テーマ本各種
自閉症者本人による自閉症本。自閉症者本人の目からは世界がどのように見えるかを理解するには最適。花風社社長とのかけあいが面白いおすすめ本たち。
その後、案の定、素人(BUNTEN)はすっこんでろ、的な追い打ちが返る。m(_@_;)m
「どうも流行に流されている。根拠はどこに?」
で、撤退準備。
2. Posted by BUNTEN 2007年08月30日 18:48
>上記のような合意がどのような根拠でなされているのか、
既に申し上げたように、自閉症の発見当初、多くの専門家が育て方の問題として対処したが効果があがらなかったことが根拠の一つになっていると記憶しています。
(最新の研究についてはよくわかりません。)
>障害から来る特異な行動と、子育てなどの問題から来る特異な行動とがどのような基準で見分けられるのかを知りたい
申し訳ありませんが、素人に対処できる範囲を超えた質問です。少なくとも私よりはおやぢさんの方が専門的な情報にアクセスしやすいと思われますので、ご自身で見分けることが必要ならばご自分でなんとか調べていただくことをお薦めします。
3. Posted by BUNTEN 2007年08月30日 18:49
またもや分割にして失礼します。m(_@_;)m
実用的には、冒頭に書いたような"育て方(他障害以外)の問題として対処して効果があがらない"ケースについて障害業界で推奨される対処を試す(逆の順番も可)とするのがいいように思います。このへんは実のところおやぢさんのようなベテランの先生には釈迦に説法でしょうが、経験の浅い先生だとそうした柔軟な対処ができずに子供の状態を悪化させるケースもままあるやに聞いておりますので、経験不足の先生が身近におられる場合は助けていただければ幸いです。m (_@_)m
ここまで来てのおやぢ氏の結論(真理を突いている、しずかさんのコメント)はこれ。
「Posted by しずか 2007年08月30日 11:54
全て偽自閉症と仮定して、親や周囲の人と共に努力すれば良いと思います。何割かの子供に症状の改善が見られれば、医師の診断も変化すると思います。
医師のように短時間で診断の上、流れ作業で処理したくなる気持ちになるよなぁとは思いますが。」
裏返せば「障害名や診断名にこだわらず、といってしかりつけるだけでなく、その子にとって分かりやすい指導を心がけよう」ということなのではないでしょうか?
という受け取り方は、間違っているのかな?
私は学校で無理解な教師に体育会系の指導を受けて性格がゆがんだので、その線から物事を見る癖がなかなか抜けません。最後に引いたおやぢさんの意見はそこだけ取り出せばまっとうな見解ですが、障害用対応と非障害用対応を両方試して効果の上がる方を、という私のコメントをあえて蹴飛ばして、全部障害ではないものとして扱うべきだというコメントを賞賛しているわけですから、「その子にとって分かりやすい指導」も、それなりに思いこみの入ったもの(本人の理解度を判断基準にするのではなく、この方法なら分かりやすいはずだ、という教師側の思いこみ)を指すのではないかという疑いが消せないわけです。(^_^;)
発端の、ウインナーで困っている子について私が障害を疑ったのは
黙ってソーセージを突き出しながら歩いてくる姿は特に困っている様子でもない
という所。(斜体はBUNTENによる。以下同じ)さらに、子供の要求を引き出すのに苦労しているようなやりとりです。
普通、腹減って困っていることを自発的に伝えられないなんてことはまず考えられないわけです。加えて、そういうスキルの指導も学校で行なうべきであると考えている(あえて手を出さないことに決め、児童の様子を見ながら「これも大切な学習だなあ」などと言っているところから見ると、学校の守備範囲の一端という認識はありそうです。)一方、
五年生ですよ。生きる力って言うけれど、学習成績よりも大切なスキルが身についていないのですねえ。
と、人にものを頼むスキルは自然に身につけるもの、ないし学校外で身につけるものであると受け取れる表現が。
確かに、腹減った、困ったといったことは喋れる子なら特に教育しなくても他人に訴えることができるようになっているはずです。それができないらしいことに加えて困った様子すら見せていないらしいことから、障害の可能性について指摘したわけですが、この流れ。
いや、「身についていないのですねぇ」と書くだけでなく、そのスキルをなんとか育ててやってくれぃ、とか強く思うわけです。m(_@_)m (いあ、もちろんやっておられるだろうとは思うわけですが、その様子が見えてこないのに加えて、この突き放した書き方を見ると不安がどうにも止まらない。orz)
追記
調べたところ、文科省は
この調査は,担任教師による回答に基づくもので,LDの専門家チームによる判断や医師による診断によるものではないので,その結果が,LD,ADHD,高機能自閉症の児童生徒の割合を示すものではないことに注意する必要があります。
と明示しているが、その後の報道とか各地の議論では発達障害者が6%なにがしいるという話に化けている印象が拭えない。担任が"困難を抱えている"と判断したことの意味は大きいし、困難を抱えた児童生徒には特別の支援を与えるべきだが、彼らに発達障害向けの支援を画一的に与えると一部で問題が起きる可能性も否定できない。