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目次
はじめに
第1章 「格差社会」の真相−小泉政権の負の遺産−
第2章 小泉政権の経済政策を振り返る
第3章 日本のエコノミストたちは何者か?
第4章 日本経済学の失敗
第5章 期待の経済学を求めて
第6章 レジーム転換の経済学の登場
終わりに代えて −最強の構造改革主義<東北アジア共同体>よりもリフレによる対抗ナショナリズムの緩和へ−
ブックリスト
今は「遺跡」になっているが、"reflation.bblog.jp"(リフレ)というナイスなURLのサイトをお持ちの経済学者による、最近の長期停滞と、戦前の大恐慌時の経済論壇を概観・比較しつつ、長期停滞脱却の展望とその望ましいあり方を語った本。
私が素人だからかもしれないが、新書という制約にもかかわらず、リフレ派(?)として入門者にも知られている高橋亀吉・石橋湛山といった面々の紹介にとどまらず、今まで広くは知られていなかった鬼頭仁三郎(ケインズの「貨幣論」の訳者)らにスポットが当てられているのは興味深く読めてポイントが高い。
大恐慌は戦争によって解消した、という、日本ではほぼ常識になっている見方の源流を探り、批判を加える部分(4章内101ページ「都留重人の大恐慌の経済学」以降)もまた面白い。
そして、あとがきで「平和とリフレ」を結びつけて語る著者の姿勢に、私は強い共感をおぼえる。経済政策や経済学に興味を抱く人のみならず、平和を望む人にもおすすめできる一冊である。