いわゆる「共産党ビラ配り事件」(私は、ビラとかポスターとかは貰いに行きたいくらいの人なので、事件にするに値しないと思ってこう言う。)の判決で、
「表現の自由は絶対的に保障されるものではない。思想を外部に発表するための手段でも、他人の財産権を侵害することは許されない」
と判示されたらしい。(リンクは魚拓。元記事はこちら。)
法律にさわり始めた頃の通説だと、財産権は他の権利の一段下に位置づけられるはずだった(例:日本国憲法では財産権は公共の福祉の制約を受けることになっているが思想信条の自由とか表現の自由にはその制約が課されていない。)ので、こういうロジックで判決が出るってのはどうなのよ、とか感じてしまう。
表現の自由は権力に対してだけでなく他人に対しても絶対だ、と言うつもりはない(例:夜間に大音量で演説したらアウトと思われる。ただしどういう理屈でアウトにすべきかはさっぱりわからんが。orz)が、報じられた通りであるならば、"少なくともこの判決に関しては、もっと他の理屈を考えた方が良かったんでないかい"、とか思う。
もう一つ。はてブでちょこっと触れたが、もう一方の当事者であるはず(民事ではないはずなので裁判の当事者ではない)の当該マンションの住民とか管理組合がこの件についてどのように考えているかということが伝わってこないのが気になる。マンションでのビラ配布がいかにあるべきか、ということを考えるにはマンション住民の考えを知ることが不可欠だと思うわけだが、この手の事件に関して出回っている考察には住民の考えを憶測したものはあっても個々の住民にインタビューするなどしてきちんと実証したものを見た記憶がない。
常識的には、そこまでする価値のない微罪事件であろうことは否定しないが(にもかかわらず権力と共産党の大々的なガチンコ勝負に事実上なっている件についての考察は華麗にスルーする。\(^o^;)/)、ことは思想信条だの表現だのの自由がからむ、民主主義の根幹にかかわる事件でもあるだけに、深く専門的な考察が望まれるような気もするわけである。m(_@_)m